有明先生と瑞穂さん
***



外は穏やかに雨が降る。
こんな天気のせいで今大体何時くらいなのかもわからない。


(あっちぃ・・・あ、でも汗出てきた。
熱引いてきてるのかなあ・・・)


頭がぼーっとする。

大食いが売りの布津はこの日まだ一口も食べ物を口にせずにずっと寝込んでいた。


(喉渇いたなあ・・・。
まだちょっと苦しいなあ・・・。


瑞穂、心配してるかなあ・・・)


カーテンは開いているのに薄暗い部屋。


身動きは全く取れないが、ガチャリと部屋のドアが開く音がして布津は薄く目を開いた。


(誰だ・・・?かあちゃん?
でも仕事だしな・・・。
早退してきたとか・・・?
それとも小介?)


首を動かして見たいがそれすら敵わない。


部屋に入って来た人物はゆっくりと足音を立てないようにベッドに近づき顔を覗き込んできた。

布津はそれをぼんやりとした頭で理解する。



「・・・つ・・・・・・・・・ふ・・・・・・つ・・・・・・」



(えっ?瑞穂?何で俺んちに・・・エッこれ夢?!)


自分を呼ぶ声。

目の前に覗き込む顔。


(でもそんな、瑞穂が来るわけが・・・)


やはり夢か――

それでも嬉しい。


「うう・・・瑞穂ぉ・・・」


夢ならせめて抱きしめるくらい――



布津は熱で火照ったその手を伸ばした。
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