有明先生と瑞穂さん
おいしい物を食べて満足になり、私はまだ有明先生と一緒にいる――。


夜9時前、明日は学校。

平日だというのに遅くまで出歩くなんて滅多にないから帰ったら怒られるかな・・・?




――瑞穂は有明の部屋にいた。


「おうち、大丈夫?」


連れて来たのは先生のくせに矛盾してる・・・

そう思いながらも口にはせずに頷いた。


(帰った方がいいよなんて言われても・・・帰りたくないし)


瑞穂はソファに膝を抱えて座った。


「もっと楽にしていいのに」


ネクタイを外した有明が冷蔵庫からお茶を出して二人分、机の上に置いて瑞穂の隣に座った。


「もしかして緊張してる?」

「いえ・・・そんなことはないですけど」

「なーんだ」


意味ありげに笑う顔がすごく大人っぽい。
しかしその笑みの理由がわからず瑞穂は首をかしげた。


有明はソファにもたれかかるとゆっくりと瑞穂に手を伸ばす。


「おいで」


言われるままにその手に自分の手を重ねると素早く指を絡められそのまま勢いよく引かれた。


「わっ・・・」


必然的に有明の方に体が倒れて覆いかぶさるようになってしまい、顔の距離がぐんと縮まる。


瑞穂は初めて自分の心臓がいつもより早く打つことに気付いた。


ドクン、ドクン、ドクン、ドクン――・・・





「つか まえ た。」


「・・・・・・!」



低い声が色っぽく言葉を発する。

瑞穂の背筋に何かが走るようなくすぐったい感覚。



このまま溶けてしまいそう。
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