有明先生と瑞穂さん
瑞穂は耳までカーッと赤くなる。

先生の上で抱きしめられるような体制。

どうしたらいいのかと固まる瑞穂をよそに有明は

「寒くない?最近夜は少し寒くなってきたね。
明日から長袖にしようかなあ」

なんてすごくどうでもいい内容をのほほんと口にしている。


「・・・いっ、今はすごく熱いです。・・・主に顔が」

「ぷっ、あはは!」


(なんか私だけこんな・・・ずるい)


本当は先生も同じようにドキドキしてるけど、平静を装ってるんじゃないんだろうか・・・

そうでないとちょっと悔しい。


瑞穂は有明の腕の中でもぞもぞと動くと心臓あたりに耳を当てた。



(・・・・・・あっ)



「俺も同じだよ。当たり前じゃない」



ドクン、ドクン、ドクン、ドクン――


同じ速度で鳴る鼓動。


「だって先生ばっかり余裕だし・・・」

「そんなことないよ」


今度は手の甲でピトッと頬に触れてみる。


「ほら、ほっぺたは冷たい」

――私の頬はこんなにも熱いのに。
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