有明先生と瑞穂さん
有明の頬に触れた瑞穂の手を暖かい手が包み込むと、表情を変えた有明が瑞穂の目を見た。

近距離で絡む視線に吸い込まれそうになっていると、有明はゆっくりと体を起こす。


無言のままなのに、相手が考えていることがわかるような気がする――不思議だ。




先生が目を細めて優しく瑞穂の髪を撫でた。


(あ・・・・・・)



確認するように見つめ合い、ゆっくりと顔が近づく。


ふいをつかれた今までとは違う。

恐る恐ると瑞穂の意思を確認するように目を見て――



心の準備をたっぷりと与えられるせいで瑞穂の心臓は耐えられないほどうるさく鳴る。


確認なんてしなくても・・・許可なんて取らなくてもいいのに

いっそのことふいをつかれた方がこんな緊張しなくて済むのに―・・・



小さな吐息もかかる距離で先生の目が問う。

『キスをしてもいいですか?』



瑞穂は頷くようにゆっくりと目を閉じた。




ゆっくりと―・・・ゆっくりと唇が触れる。
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