有明先生と瑞穂さん
「掃除から帰ってこないと思ったら・・・
さ、行くわよ晴子」

「ちょ、ちょっと待て!」


口之津は殴られた顔面を押さえて慌てて起き上がる。


(鼻血出てないのかな・・・)



「喋りかけるな胸糞悪い」

「ちょっとした冗談じゃねーか!!
嘘だって!」

「冗談でもセクハラはセクハラ」

「俺が抱きたいのはお前だけだ!!」

「!!」


「うわっ」



さすがにこのセリフには瑞穂もドン引いた。


「二度と触らないで」


有馬はカッと目を見開きそう言うと瑞穂を引いてその場を去った。


(うん・・・今のじゃそうなるよね・・・)


引きずられながら瑞穂は少しだけ口之津に同情した。






「ったく、何なのよあの男!」

教室に戻り鞄に荷物を乱暴に詰めながらまだ有馬は怒っていた。


「まあまあ・・・タチ悪いけど口之津先生の冗談なんだしそんなに怒らなくても。
まあ最後のはちょっと私も引いたけどさ」


瑞穂がなだめると今にも噛み付きそうな顔をして有馬が振向いた。


「アンタはあの男の肩持ちすぎなのよ!
アイツはただの変態尻軽男なのよ!!
今のでよーーっくわかったわ!」

「そんな大げさな・・・」


瑞穂の頭の中に口之津の言葉が響いた。

『これ以上どう動いても嫌われる気しかしねえんだよ』


近づきたくても近づけない。

そんなもどかしい思いをしているのにこんな悪いタイミングで更に嫌われるなんて可哀想だ。
< 925 / 1,252 >

この作品をシェア

pagetop