有明先生と瑞穂さん
***



次の日――



「瑞穂さん」


部活で図書室にいる瑞穂の元へ有明先生が現れた。


今日の瑞穂は奥の部屋で一人で業務をしているため、他の人間はいない。


「どうしたんですか?」

「この間は帰り遅くなっちゃったけど大丈夫だった?」

「あ、ハイ・・・」


思い出すと恥ずかしい。
気付いているのかいないのか有明はそのまま話を続ける。


「土曜日は仕事だけど日曜は休みなんだ。
それで瑞穂さん、予定あるのかなと思って」

「えっ!な、ないですけど・・・」

「じゃあどこか行きたいところは?」

「えっと・・・ないです」


「それじゃあとりあえずウチに来る?」

「!!」


有明の言葉に目を見開いて顔をボワッと赤く染めた。
その反応を見て有明も驚く。


「えっと・・・嫌ならいいんだけど。
どうせ俺んちにいても暇だと思うし」

「いえっ!そんなことはなくてっ!!」

「暇でも一緒にいたいなって思っただけだから・・・ダメかな?」


首をかしげて笑う顔がかわいい。

「ダメじゃないですっ!」

瑞穂は勢いよく首を振って答えた。



「よかった。じゃあ、それだけ。
お仕事頑張って」

「あっ・・・有明先生も・・・
頑張ってクダサイ」


顔を赤くしたままだんだんと声の小さくなる瑞穂に嬉しそうに笑いかけて部屋を出ていった。

ほんの数分のことだった。
< 928 / 1,252 >

この作品をシェア

pagetop