有明先生と瑞穂さん
「有明先生、今大丈夫ですか?」

「小浜先生。レポートのことですか?
この間渡した資料はどうでしたか?」

「ええ、すごく助かりました!
よかったら後で添削してもらえますか・・・?」

「いいですよ。僕もそんなに自信ないんですけどね」

「ふふ、そんなことないですよ」



「あーりあっけせんっせーいっ♪」

「わっ」


有明の背中にドンと衝撃を与え、元気な声が和やかに話す二人を割って入ってきた。


「ゲホッ・・・有馬さん」


目を見開いて驚く小浜を有馬はギロリと睨む。


「何やってんですかぁ~っ?!
ウチともお話してよ!
最近有明先生と喋る機会なくて寂しい~」

猫なで声を出しながらあからさまな態度で有明の腕に絡まる。


「お話・・・そうですね。有馬さん読書感想文・・・」

「ん゙んっ、あーあー!
そうだ先生帰りどこか行こうよー!」


「有明先生、レポート・・・」


小浜も遠慮がちだが負けじと話に割って入る。


「そうでしたね。
有馬さんは遊ぶ前に遅れてる宿題を提出してください。
小浜先生はレポートは放課後業務が終わったら確認しますから後でもってきてもらえますか?」


軽くあしらわれた有馬は不満気に小浜を睨みつける。


「もーーッ!そんな女いいからウチともあーそーんーでーよー!!」

「うわっ・・・ちょっと有馬さ・・・」

掴まれた腕をブンブン振り回され有明はバランスを崩す。

「そ、そんな女って・・・」

その言葉が気に障ったのか小浜も反対側の有明の腕を掴んだ。


「有明先生困ってるじゃないですか!
貴女ちょっと・・・離しなさい!」

「はぁーっ?!そっちこそ有明先生に触んなだし!」


ギリリリリリ


(いっ・・・痛い痛い痛い!)


なぜか睨み合う女二人に挟まれて、早くこの場から脱出しようと両腕を掴まれたまま有明は職員室へと重い足を一歩一歩運んた。
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