有明先生と瑞穂さん
「違うんだ祥子、一度でいいから話す機会を」

「ハァ?何名前で呼んでんの?キモイ」

「そう言えば有馬さんの名前は祥子さんでしたね」

「キャアッ!先生なら呼び捨てでもいい~!!」


有明は確実にわざと口之津への嫌がらせで言っている。

口之津は悔しそうに唇を噛んだ。



「さあ、もう授業が始まります。
有馬さん達は教室に戻って、小浜先生と口之津先生も中へ」

「はぁ~い」

「・・・・・・」



なんだか余計に溝ができたような気がして、瑞穂は職員室の中へと入る有明先生の後姿を見つめた。


(こっち見て笑ってくれないかな・・・)


なんとなくそんなことを考えてしまう。


皆がいる前でそんなこと、できるわけないのに。







職員室へ入ると小浜が有明にそっと耳打ちをした。

「口之津先生が女子生徒と問題起こしたって噂ありましたけど、それってさっきの生徒ですか・・・?」

何も知らないとはいえ瑞穂のことをそう言われるのは内心ムッとする。

「違いますよ。小浜先生もアテにならない噂話は信じないようにしてください」

「ごめんなさい・・・。でも口之津先生がよくあの生徒と一緒にいるとこ見ますけど、仲よすぎません?」

「・・・・・・」


小浜は不機嫌そうに黙り込む有明を疑問に思いながらもそれ以上は言及しなかった。
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