有明先生と瑞穂さん
唸り声はホラーのようにゆっくりと有明の方に近づき、背後に立つ。


さすがに振向こうとした時、有明は体の自由を奪われた。



「――えっ・・・」



まわされた腕。
背中に体温。
ぎゅうっと力を入れながらも少し震えてる。


一瞬驚いて、その後なぜか笑いがこみ上げた。


「・・・っはは」

「うはっ!わ、笑っ・・・」

「いや、ゴメンゴメン」


瑞穂のそのぎこちない行動がおかしくて、かわいくて、笑いが止まらない。


「うう・・・・・・」


すごく恥ずかしがりながらも腕を離さないでいてくれるのが嬉しい。


「・・・どうしたの?」

「先生が・・・触ってくれないから」

「それはちょっと危険なセリフじゃないかな」

「はっ!!いや、そんな意味じゃなくて・・・」


ゆっくり振向くとようやく目が合う。


「真っ赤」

「・・・先生だってちょっと赤いですよ」


唇をなぞる。
『キスをしたい』という合図。


今度こそはと頬に手を滑らせゆっくりと顔を近づける――









「先生ちょっとこっち来てください!!」

「え」


そういう空気だと思ったのだがアッサリ体は引き剥がされ思いっきり瑞穂に手を引かれた。


「え、ちょ、どこに」


戸惑うまま引かれると急かされながらソファに座らされ、押し倒される。



(えっ、俺襲われるの?)
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