有明先生と瑞穂さん
「何黙ってんのよ。
用がないなら行くけど」

「い、いや!あるある!」




廊下で目が合い、つい話し掛けてしまった口之津は真っ白な頭を回転させた。


――どうして話し掛けてしまったのだろう。

気付けばその瞳に吸い込まれるようにフラフラと・・・・・・



「用って何よ」

「えーっと・・・」


それでもこうやって話せるのは嬉しいのに、前のようにはいかない。

こいつはいつも不機嫌なままだ。



俺はいつからこんなに臆病になったんだろう。


嫌われるのが怖くて、手が出せない。



(我ながら女々しくなったもんだ)



でも、何もしないで嫌われるよりは――





「一度きちんと、話がしたい」



――カッコ悪ィ、声が震えてる。



ほらまた眉間にシワを寄せた。

拳まで握って、攻撃しないっての。





「・・・いいわよ」


「は?!」





自分の耳を疑った。
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