有明先生と瑞穂さん
「ま、いいわ。
私の好きな化粧品ブランドが新作イベントやってんのよ。
行くとこないならそこに行きたいんだけど」

「お前化粧品いっぱい持ってただろ?!まだいるのか?!」

「ウルサイわね。好きなのよ!
嫌ならいいわよ、別の日に晴子達誘って行くから」

「嫌じゃねーよ!行く行く!」



(・・・何ご機嫌取りしてんだか。

化粧品なんて見てもわかんないくせに。馬鹿みたい)


無意識に出たため息に、隣では赤頭が心配そうにチラチラと様子を伺う。
それが少しウザったい。


店には同じようなギャル達がテンション高く集まっていた。

隣では口之津がそれを見て顔を青くしている。


(ギャル嫌いなんだから当たり前よね。
今はウチに対してそういう態度だけどじきにボロが出るわ)


――そうよ。こいつの本心を暴くために今日はこいつに付き合ってやるって決めたんだ。



こんな男と一緒でも、好きなものに囲まれるのは嬉しい。


「ここのはデザインもすごく可愛いのよね~。
あっ、コンパクト新しいデザインだ!」


口之津は同じものを見ながらさっぱりわからないという顔をする。
それを無視して好きなように歩けば黙って後ろをついてきた。


「カワイイ~~!グロスだけ買うつもりだったけどチークも買おうかなー。
あーでもラメ入りピンクとオレンジ迷うわー!」

「チークってほっぺたか?
何すんだコレで」

「頬につけるに決まってるじゃない。何言ってんの?」


興味なんてないくせに、二つを手に取りしげしげと眺める。


「アンタにはわかんないわよ」

「いいじゃねーか、見るくらい」

「じゃあどっちがかわいい?」

「・・・・・・」


聞くとチークと有馬の顔を交互に見る。

そうやって顔を見られるのは少し恥ずかしい。聞くんじゃなかった。
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