有明先生と瑞穂さん
「わ、わかった?!とにかくそういうの探して!
別にネックレスじゃなくても指輪でもブレスレットでもピアスでも何でもいいから」


有馬はそそくさとネックレスを外して口之津から離れた。


とにかくここは一人や友人と一緒ではなかなか来れない場所だ。
絶対に何か買って帰りたい。

有馬は頭を振って目の前のアクセサリーに集中する。

しかし口之津はまたしてものん気に有馬を呼んだ。


「オーイ、祥子。ちょっとこっち来い」

「ああもう~~何よ!」


イライラしながら駆け寄ると、口之津は唐突に有馬に腕を回した。


「えっ・・・ちょっと・・・」


「うーん、これはゴツすぎかな」

「・・・・・・は?」


よく見ると首にはネックレス。

どうやら似合うか確認するために首にあてがっただけのようだ。



「じゃあこの指輪はどうだ?これならゴツくても結構・・・」


うろたえる有馬をよそにヒョイと手を取り指輪をはめる。

何気ないしぐさだがよく考えれば花嫁のようだ。


「わっ、お前指長いなー。ハンドモデルみたいだなー。・・・いや、長く見えるのはつけ爪のせいか?」

「・・・ちょ、ちょっと、気安く・・・」

「じゃあピアスはどうだ?」

「――――っ!」

今度は有馬の髪をかき上げて耳にピアスをあてがう。





「・・・・・・何照れてんだよ」



そこでようやく顔を見た口之津が赤くなった有馬に気付いた。
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