有明先生と瑞穂さん
――震えている。
唇を重ねてどれくらいだったか・・・
口之津が有馬の震えに気付いたのはしばらくたってからだった。
掴んだ腕と少しだけ離した唇が小刻みに。
(・・・・・・やべぇ)
怖がらせてしまった。
気の強い女だからと、甘く考えていたのかもしれない。
――いや、気が強い女なら相手の意見を無視してこんなことをしていいということはない。
・・・無視したわけではないが。
ただ、つい、衝動的に。
それでもやってしまったものは仕方がない。
今更湧く罪悪感に、口之津は掴んだ手を緩めた。
「悪い、しょ・・・」
「最低・・・・・・」
低い声が吐き捨てる。
何を言われてもこれは自分が悪い――
殴られても蹴られても罵られても、気が済むまで黙って受けよう。
そう思っていた。
ドスッ!
「うぐっ!」
予想通りに有馬の拳がみぞおちに直撃する。
一瞬息のできなくなった口之津はゲホゲホと倒れこんだ。
しかし次の一撃を待つが来ない。
何も言わない。
転がる口之津の横に仁王立ちする有馬を、息を整えながら見上げる。
やっぱり顔は般若のように怒り狂っていた。
「祥・・・」
「最低!!」
「悪い。さっきのは俺が全面的に悪かったから・・・」
「アンタなんか!!!」
大きな声に遠くでイチャつくカップルがチラチラとこちらを見る。
「・・・・・・っ」
「祥子・・・?」
「・・・・・・んせいなら・・・」
「え・・・?」
「有明先生なら絶対こんなことしないんだから!!!!」
「!!」
ざっくりと鎌のようなものが胸に刺さった気がした。
唇を重ねてどれくらいだったか・・・
口之津が有馬の震えに気付いたのはしばらくたってからだった。
掴んだ腕と少しだけ離した唇が小刻みに。
(・・・・・・やべぇ)
怖がらせてしまった。
気の強い女だからと、甘く考えていたのかもしれない。
――いや、気が強い女なら相手の意見を無視してこんなことをしていいということはない。
・・・無視したわけではないが。
ただ、つい、衝動的に。
それでもやってしまったものは仕方がない。
今更湧く罪悪感に、口之津は掴んだ手を緩めた。
「悪い、しょ・・・」
「最低・・・・・・」
低い声が吐き捨てる。
何を言われてもこれは自分が悪い――
殴られても蹴られても罵られても、気が済むまで黙って受けよう。
そう思っていた。
ドスッ!
「うぐっ!」
予想通りに有馬の拳がみぞおちに直撃する。
一瞬息のできなくなった口之津はゲホゲホと倒れこんだ。
しかし次の一撃を待つが来ない。
何も言わない。
転がる口之津の横に仁王立ちする有馬を、息を整えながら見上げる。
やっぱり顔は般若のように怒り狂っていた。
「祥・・・」
「最低!!」
「悪い。さっきのは俺が全面的に悪かったから・・・」
「アンタなんか!!!」
大きな声に遠くでイチャつくカップルがチラチラとこちらを見る。
「・・・・・・っ」
「祥子・・・?」
「・・・・・・んせいなら・・・」
「え・・・?」
「有明先生なら絶対こんなことしないんだから!!!!」
「!!」
ざっくりと鎌のようなものが胸に刺さった気がした。