有明先生と瑞穂さん
「待てっつってんのよゴラァーーー!!!」
「ゴハーーーッ??!!」
ズザザザザーーーッ
「キャーッ」
「なっ、何だー?!」
全速力で勢いをつけた有馬の飛び蹴りがカップルの目の前で口之津の背中に繰り出される。
カップルは声を出して驚いた。
全力の飛び蹴りを食らった口之津はコンクリに顔を擦りつけながら勢いよく数メートル滑っていった。
「ってぇえええ~~~!!!
ぬぁにすんだテメーっ!!」
鼻を押さえて立ち上がる。
さすがのカップルもキャーキャー言いながら逃げ出した。
「何勝手に帰ろうとしてんのよ!」
「はっ・・・はぁあ?!」
口之津は呆然と有馬を見上げる。・・・驚くのも無理はない。
「今日はウチがアンタに付き合ってやるかわりに、ワガママ全部聞いてもらうって決めてんだから!
勝手に帰ってんじゃないわよ!!」
「なんだそりゃ?!
お前勝手にそんなこと思ってたのか?!」
「当然の権利だわ!」
「何でそんなに偉そうなんだテメー!」
自分でも自分の無茶苦茶な言い分に飽きれる。
きっとこの男のことだから『これだからギャルは』なんて思っているんだろう。
「当たり前でしょ!!
アンタはずっとウチのこと見つけらんなかったんだから!
ウチがどういう気持ちだったかわかる?!」
支離滅裂だ。
これじゃあまるで――
「え・・・・・・
お前、傷ついてたのか・・・」
「――っ!」
言葉にして初めて自分の気持ちに気付いた。
「だって・・・嘘だろ・・・
お前・・・俺のことが嫌いだから教えなかったって・・・」
「そ・・・そんなわけ・・・ないし・・・」
自分の発言にうろたえる。
どうして今まで気付かなかったんだろう。