有明先生と瑞穂さん
急に真面目な顔をする深江。


それでも布津にはよくわからなかった。


深江の表情はどれも、作り物のような気がして――



黙り込む深江の表情を何気なく見つめる。






「ねえ、聞きたい?
結が布津君につきまとう、自分勝手な理由」



「・・・・・・」





どうせまた茶化すのだろう。


そう思っていたが、深江から目が離せない。




「なん、」

「おーい!練習始めるぞー!」


聞きかけたとき丁度それを遮るように部長が体育館から出てきて声をかけた。



「あらら、残念。じゃあこの話はまた後でね」

「おう・・・・・・」


深江が手を振って見送る。

布津は釈然としないまま体育館へと戻っていった。




「さてと」


体育館に入った布津を確認すると、帰宅するために鞄を持つ。


その時だった――





「あ、あの、君っ」

「え?」


唐突に声をかけられた方を振向けば、まだ体育館に戻っていない部員が一人。

――確か3年生だったはず。よく覚えていない。



「なんですか?」


休憩時間とはいえ部活中に遊びに来るなという注意だろうか――・・・


深江は少しだけ身構えた。


しかしどうやら少し様子がおかしい。


その3年生は人目を気にするようにキョロキョロとあたりを見回した。



「・・・・・・?」
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