有明先生と瑞穂さん
「だったらもう答えは決まってるじゃんか」


「ちょっと布津?!」



予想外の冷たい布津の言葉に瑞穂は驚く。

布津も瑞穂に声を上げられハッとして、バツが悪そうに顔を背けた。


深江の顔を見ると今にも泣き出しそうだ。




「結ちゃん、そんなに怖がることないよ」

「!」


瑞穂の言葉に有馬と布津が、話の意図がつかめずに顔を見合わせる。
しかし瑞穂は構わずに続けた。



「私も最初それが怖かったんだよ。知ってるでしょう?」

「・・・・・・」


それでも深江はうつむいたままだ。



「私と布津は、終わってないよ」


「!」



今度は布津が驚く。



「だ、だって・・・」

深江はか細い声を上げた。


「よくわかんないけどさ、深江。
断ってからだって始まるものもあるかもよ?」


事情を知らないはずの有馬の言葉は的確に心を刺す。



「アンタさー、今は普通にしてる布津と晴子だけど、いつかはギクシャクして離れちゃうんじゃないかって思ってるんでしょ?」

「!」

「えっ、そうなの?!」


これには布津と瑞穂も驚いた。



「だから・・・最近布津の周りばっかりチョロチョロしてるんでしょ?」

「・・・・・・」


深江は黙ったままだ。


布津はようやく理由がわかり、驚いた顔で深江を見る。



「結ちゃんそう思ってたの~?!
まあ先のことは私達にもわかんないけど」

「ってオイ!!」


いつものノリの瑞穂と布津に少しだけ深江も笑った。
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