有明先生と瑞穂さん
***


この日の放課後、深江は布津のいるバスケ部ではなく瑞穂がいる図書室に来ていた。


「晴ちゃんともうちょっとお話したいと思って。
あと・・・まだ返事出してないからバスケ部には顔だせなくって・・・」


と、深江は言った。




「部活中にお喋りってやっぱり怒られる?」

「怒られはしないけど、今日人いないし愛野先生も来ないから大丈夫だよ」


瑞穂が仕事をするカウンターの傍に座り、深江は滅多に来ない図書室を珍しそうにキョロキョロと眺めた。


もう一人の図書部員は奥の部屋で仕事。
本を借りに来る生徒も少ない。


人のいない間を見計らって深江は自分から話し始めた。



「結ね、結局断れなくて付き合っても別れる時は自分から言えたの」


確か仲良くなり始めたばかりの頃もそういうことを言っていた気がする。

あの時は理由も知らずに結構軽い子なんだと思っていた。

有馬は『普通だ』と言っていたが・・・。



「相手にぬか喜びさせてるってわかってるんだけどね・・・。今までもそう言われたこともあるし・・・。
昨日も布津君に言われちゃった」


布津とどういう会話をしたのか瑞穂にはわからないが、それよりも深江が結構モテることに瑞穂は興味がある。


(男受けよさそうだもんなー・・・)











一方、その頃布津のいる体育館には有馬がいた。


興味なさそうに布津の練習をじっと見る有馬はちょっと怖い。


先輩が「今日は違う女かよ!」と冷やかすが代われるものなら代わってほしい。


休憩時間になると有馬は一直線に布津の元へ寄ってきた。
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