有明先生と瑞穂さん
「布津と深江ってどうなってんの?なんかウチよくわかんないんだけど」

「わざわざそれ聞きにきたのかよ・・・」



布津は大きく息を吐いて建物の影に腰をおろした。


「どうもこうも、何もねーよ」

「嘘。だってアンタの先輩から告られたって聞いた時のアンタの反応、超不自然だった」

「マジかよ」


無意識だった布津は今更自分の顔を触って確認する。



「深江に気ィあんの?」

「ねーよ。普通にまだ瑞穂に未練あるし」

「ウワー・・・」

「引くな引くな!仕方ないだろ!」


有馬は手に持っていたパックジュースを布津に投げ渡して隣に座った。


「でも正直よくわかんねー。
好きとかじゃないと思うけど、ああやって意味もわからず付きまとわれたら『もしかして』ってなるじゃん」

「そうよねー、複雑よね」

「深江自身、俺のことが好きなのかわからないらしい」

「何ソレ」


『何ソレ』なんてこっちが聞きたい。



「でも俺につきまとってた理由が有馬のお陰でわかったわ。
なんつか、拍子抜けっつーかそういう気持ち。
『好きかどうかわからない』って言われてたのにやっぱり勘違いしてたのかもしんねー。
そう思うとこっ恥ずかしいー!」

「恥ずかしいならわざわざウチに心の内を話さなきゃいいのに。
バカね。バカ素直」

「いいじゃねーかバカ素直。かわいらしいじゃねーか」


有馬も自分のパックジュースを飲みながらケラケラと笑った。
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