有明先生と瑞穂さん
その後有明が歩く後ろを小浜がついて行きながら図書室内をうろうろする。


「ん~~、やっぱり僕じゃわからないな・・・。
やっぱり愛野先生がいらっしゃる時がいいですよ」

「そうですか?」


その様子を相変わらず頬を膨らませながら深江は眺めた。


「あれ、絶対わざとだよ晴ちゃん」

「え?何が?」

「聞いたでしょ、今の。
愛野先生がいない時を狙ってわざわざ図書室に誘うなんてさ~。
確信犯だよ」

「えええ・・・。図書部員もいるしそれはないんじゃ・・・」

「関係ないよ。結達のこと子供だと思って空気扱いしてるんだよ!」

「すごい考えだね・・・」

「ホントなのにぃ」


瑞穂がその話を軽く流すと深江は更に不満そうに頬を膨らませた。




「困ったな・・・どうしても今日必要ですか?」

「えっ・・・いいえ、そういうわけじゃないんですけど・・・」

「・・・・・・?」


小浜の態度に首をかしげながらも有明は再度カウンターに向かって歩きだした。



「瑞穂さん、ちょっといいですか?」

「はい?」

「この資料探してるんですけどわかりますか?」

「はあ・・・」


有明が手渡すメモを瑞穂は受け取りしげしげと見つめる。


「生徒にはわかりませんよ」

「小浜先生ぇ~、そんな言い方ないんじゃないですかー?」

「私はそんなつもりじゃ・・・」


深江の嫌味に少しだけ空気が悪くなり、有明は慌てて仲裁した。


「まあまあ二人とも。喧嘩しないで」

「喧嘩してないも~ん」

「・・・・・・」


その間も瑞穂は「う~ん」と口に手を当てて考えている。
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