有明先生と瑞穂さん
「多分、こっちかな・・・」


二人の険悪な雰囲気を全く気にすることなく瑞穂はふらふらと図書室内を歩きだし、奥の方へ入っていった。

それを3人がついて行く。



「結構古いんですけどこの棚の一番上あたりです。
うーん・・・っと、届かない・・・」

「僕が取りましょう」


一番上に向かって手を伸ばす瑞穂の後ろから有明が手を伸ばし目的の本を取る。

振向くと、瑞穂にだけ見える位置で優しく微笑んだ。


瑞穂はその表情にドキリとして慌てて顔を伏せる。


「あ・・・ありがとうござイ・・・マス・・・」


深江はその様子を羨ましそうに後ろで見ていた。


(なんかいいなぁ~アレ!)


ちらりと隣を見ると同じく小浜も羨ましそうな顔をして見ている。


(チッ!やっぱり有明先生狙いじゃん!
ミエミエの行為があざといっ)




「あとはそのあたり何冊か似た内容だったと思います」

瑞穂の指すとおりに有明は数冊手に取る。

厚めの本はたった数冊でもかさばって少し重い。



「少しここで中を確認していきましょうか」


有明が近くの机に本やノートを広げて座ると小浜はすかさずその隣にぴったりと座った。


(ああっ、また!本当にあざとい~~!)


深江も負けじと有明の隣をキープする。


(どうして3人ともそっちに・・・?)


瑞穂は少しだけ孤独を感じながらも一人向かいの椅子に座った。
< 991 / 1,252 >

この作品をシェア

pagetop