有明先生と瑞穂さん
当然、流れる微妙な空気。
静まり返る空間。


深江一人が「ふふん」と満足気。


(うわ~~・・・)


聞かなかったことにしようと瑞穂が一歩下がった時、深江が振向いてドヤ顔をした。

(あ、バレてた)

瑞穂はやはりその場に固まるしかできなかった。



「深江さん、唐突にそんな話は・・・」


有明は苦笑しながらその場をどうにか過ごそうとするが、肝心の小浜が頬を染めて黙りこくったまま否定しない。

面倒なことになったと有明も肩を落とした。



「キャッ、好きなんですかぁ~!?
有明先生カッコいいですもんねー!」

「深江さん・・・、話しづらくなるじゃないですか。やめてくださいよ」

「ヤダー!先生意外とピュア~!」


深江一人でキャッキャと笑いながら有明の腕をツンとつついた。



(ああ・・・結ちゃんの今までの空気読めない言動は全部演技だったのか・・・)


女は恐ろしい・・・。

瑞穂は久々にその感覚を味わった。




「小浜先生も面食いだね~」

「や、やめてください・・・」


小浜がようやく否定して有明も瑞穂もほっと胸をなでおろす。

しかしそれは否定の言葉ではなかった。



「そんな話・・・有明先生にご迷惑をかけます・・・」


「!!」



認めてしまった・・・。



「小浜先生、生徒にそんなこと簡単に言っちゃっていいんですかぁ~~?」


「あっ・・・」


深江の言葉に更に小浜は頬を染め、上目遣いで一度有明を見てうつむく。

そのしぐさは女から見てもかわいらしく、更に深江の頬をピクピクと痙攣させた。
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