有明先生と瑞穂さん
「深江さん、あんまり先生をいじめちゃダメですよ」

「うっ」


有明がニッコリ笑いながら小浜をかばうような姿勢をとる。

その姿が更に深江を不快にさせた。



「えぇ~・・・有明先生もしかして満更でもない・・・とか・・・・・・?」



冗談のように言うがうまく笑えていない。

正直瑞穂は深江のその表情が怖い。



「「え・・・」」


同時に驚いた有明と小浜。
小浜は明らかに喜んだ顔をした。



(っきーーー!この女むかつく!!)


深江の目には有明と小浜のまわりにピンクの花がたくさん咲いたように見えた。


深江としては自分から二人の仲を取り持ったような形になってしまったことが余計に悔しい。



「そ、そんな有明先生・・・生徒の前で・・・」

「やっ、違・・・」

「ちょちょちょ・・・何よぅその反応ー!!」



図書室だというのに3人は(主に深江だが)声を張り上げて騒ぎ出す。

瑞穂はその様子を一人傍観するしかできなかった。



「瑞穂さーん、なんか取り込み中みたいだけど先に帰っていいー?」

「あー・・・いいよ。お疲れ様・・・」


もう一人の図書部員はその間に仕事を終わらせて帰ってしまった。


(私も帰りたい・・・)






「何よぉー!勘違いしないでよぉ!有明先生も思わせぶりな態度取るからぁー!」

「思わせぶりなんて僕はそんな・・・」

「そうです、有明先生は思わせぶりなんかじゃ」

「いやそういう意味でもなくてですね・・・」

「有明先生ハッキリ言ったげてよー!!」

「やめなさい貴女・・・、生徒が口出す話じゃ」

「生徒だからって何ー?!オバサンのくせにオバサンのくせに」

「お、オバサンって私まだ・・・」




「いい加減にしてください!!」




「!!」
「!!」



有明の叫び声に二人はピタリと動きを止めた。
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