有明先生と瑞穂さん
有明は息を整えながら二人から引っ張られまくった服を整える。
いつの間にか両方からもみくちゃにされていた。


滅多に声を張り上げることのない有明の姿を見て深江と小浜は目を見開いてビビっている。



「僕はあまりプライベートの話を持ち込むのが好きではありません」


言葉はキツいがそれでも優しい口調で言うと、深江がごくりと唾を飲み込み口を開いた。


「それって・・・生徒にはそういう話したくないってことですか?」

「違います。小浜先生にも同じです」


その言葉に小浜も表情を曇らせる。


深江の表情は有明の言葉を信じていなかった。
「子供だからごまかせばいいと思って!」とありありと顔に書いてある。


不満気な深江を見た有明がひとつため息をついて観念したように言った。





「僕には付き合ってる人がいます。
だから小浜先生とそういう関係ではありません」




「!!!!」



「えっ!!」

「・・・・・・!」





(っぬわーーーーー?!)



一番驚いたのは瑞穂だ。



「・・・さぁて私は片づけを~・・・」


「ははははは晴ちゃん聞いたっ?!」

そそくさとその場を離れようとしたがここで初めて深江が自分に話をふるので結局逃げられなくなってしまった。



「う、嘘・・・!だってお付き合いしてる人いないって・・・」

「そうだよ先生、前そう言ってたぁ~!」



「最近付き合いはじめました。
・・・こういう話をするのは好きではありませんが、嘘をついたり隠したりするものでもないので」


「・・・・・・」



瑞穂は3人に背中を向けたまま振向くことができない。

今自分の顔が赤いのか青いのかもわからない。


(何言っちゃってんの先生ーー!!
せめて私がいないとこで言ってよーーー!!)

大声を上げて逃げ出してしまいたい。
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