有明先生と瑞穂さん
「ねっねっ、どういう人?!」

「そういう話はしたくありません・・・って言ったじゃないですか」

「も~、先生のケチー!」


ビッグニュースに小浜のことなどどうでもよくなった深江は今度は楽しそうに有明を質問攻めにする。


小浜は一人ただ黙って呆然と座り込んでいた。



瑞穂はその場でひたすらオロオロしていると有明と目が合う。


有明は照れくさそうに笑った。








「これだけコピーして後は借りていった方がいいでしょう」

「ありがとうございました・・・」


10分程してレポートの資料集めは終わり有明は席を立つ。

深江は有明の話を聞いて以来ポチポチと携帯でメールを打っている。
・・・間違いなく有馬に速報をしていた。


(明日が怖い・・・・・・)



瑞穂は深くため息をついた。

『彼女がいる』とわかっただけで深江のこの反応だ。
もし二人の関係がバレてしまえばとんでもないことになるのではないだろうか――・・・。

ぞっとして瑞穂は肩を抱く。



「それじゃあ僕は先に行きますので。鍵を閉めたら小浜先生が職員室まで持ってきてください」

「はい・・・」


有明は小浜から逃げるように図書室を後にした。

小浜はもうやる気なんてなさそうにしながらも残りの資料をまとめる。


「晴ちゃん晴ちゃん!
有馬さんが今すぐ駅前の喫茶店に来いってー!行く?」

「い、行かないよ!恐ろしい・・・」

「じゃあ結先に行くけどいい?」

「どうぞどうぞ!!」


深江はそんな空間のそんな内容の場所は怖くはないのだろうか・・・。

ルンルンとスキップしながら図書室を後にする様子を見送った。






図書室には小浜と二人――・・・




小浜は瑞穂のことなんか知らない。
きっとそのまま何事もなく帰るだろう。
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