放課後図書室

チラリと、先週まで早瀬君が座っていた場所を見る。


椅子は折り畳まれているため、ぽっかりとそこにはスペースができている。




私は昨日一昨日の土日で、いろんなことを考えた。


恵美ちゃんと玲奈ちゃんのことはもちろん、自分のことも、早瀬君のことも、中2の頃のことも。




正直言って私は、中2の時の早瀬君とのことは、初めての交際としても、初恋としてもカウントしていなかった。


むしろ、恥ずかしくて思い出したくないような過去として、なるべく記憶の隅へ隅へと追いやっていた。


金曜日に言われた、『楠原は違ったでしょ?』という言葉。


早瀬君に聞かれて返事に窮したし、確かに自分の中でも、『恥ずかしかった』という気持ちの大きさに『本当に好きだったかどうか』なんていうのは飲み込まれたままほったらかしだった。
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