放課後図書室

頭の上で繰り広げられる、いつもの早瀬節。


私は理解力が無いから、早瀬君の言いたいことがピンとこない。




「嘘はつくし、苛めたくなるし。
楠原の理想の人とは全然違うよ」


笑いながら、埋もれている私の頭をポンポンとした。


『嘘つかない人』がいいって言ってたの聞いてたんだ、早瀬君……。




「多分、これからもっと……我儘になっていくかも」


「なんで?
どーいうこと?」


埋まっていた顔をポンッと抜いて、ひょこっと顔を上げる。


ばっちり目が合った眼前の早瀬君は、ふっと笑って私の額に小さなキスをした。


「追々、分かっていくと思うよ」


早瀬君の優しいけれど何かを秘めたような笑顔に、私は恥ずかしさと同時にいろんな感情による心臓の跳ねを感じた。




ホント、早瀬君はドキドキさせるのが上手だ。


これに慣れる日なんて来るのだろうか。




 
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