剣舞
自分を囲む人垣・・・


一定の距離を保ちつつ、ヴォルハムンの民が、自分を囲う様に立ち、こちらの出方を待っている。


この中には、オリビアはいない。

でも、きっと、ここには
この赤岩の大地に、彼女は
いるはずで・・・。


この村落には、外部から人が訪れる事がないのだろうか。

それとも、自分の存在を知って、問い掛けを躊躇うのだろうか。


自らの名を述べ、問い掛けることは、命令になりそうで、来てしまったものの、でうするべきか、ここへきて考えあぐねてしまった。


「ようこそ。ヴォルハムンへ。」

人垣の奥から、ざわめきを収拾づけるように、通りの良い声が聞こえた。

人垣が、二手に別れ、目の前に、歳の頃四十代ほどの、がっしりとした筋肉をつけた男が進み出る。

「覇王でいらっしゃるかな。」

確かめるような言葉に、肯定の言葉を返す。

「暑い中、ようこそお越しを。私共の住居は、ごらんの通りの所だが、よろしければ、お入りください。」

「ありがとうございます。」

相手に引率され、岩盤に歩みだした。

 
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