裏表マネージャープレーヤーの楽しみ
出逢い
「ねぇ柚希!」
と、話かけてくるのは私の友達、優衣。
「ん?何?」
と、返事を返す。
「柚希さぁ、恋しようとか思わないの?」
そのことを聞かれるのは100回目くらいだ。
恋はしたい。だけどいい人がいないのだ。私に合う人など、見あたらないのだ。
「はぁ・・・。私、部活だから、もう行くね。いい恋してよ!」
「はいはい」
と、返したが、正直焦っている。優衣も彼氏出来てるし、そろそろ作らないといけない時期でもある。そんなことを考えながら靴箱に向かっていた。
教室を過ぎようとすると、隣のクラスに、まだ残ってる人がいた。
真剣に本を読んでいる男子生徒。その横顔は綺麗で、悲しげに見えた。なんか、かわいそうで、私は彼を見つめていた。
ふっとこっちを見たから、慌てて学校を出た。
一瞬、ドキッとした。
でも、感じた事がない感情だった。私はまだ、その感情が恋だなんて、全く知らなかった。
翌日、優衣に昨日の男子生徒の事を聞いてみた。
「あ!会長でしょ!!隣のクラスの!確か…小田切 結弦君。めっちゃカッコいいよね!」
そう、彼は、2学年会長の小田切 結弦君だった。
クールなとこと、頭がいいし、カッコいい事で女子がキャーキャーしてる。
私もカッコいいとは思ったが、好きにはならなかった。
「柚希にはこんな男子似合いそうだなぁー」
と、優衣は私に結弦君を進める。
「でも、話す機会とかないよ」
と私が言うと、はぁーと息を吐き
「忘れたの?結弦君は柚希と同じ図書委員でしょっ!」
ーーーーあ。そういえばーーーー
いたや。図書室に、結弦君が。
私は、興味半分で、放課後、図書室に向かおうとした。
「そうだったね!すっかり忘れてたよ」
「まぁ図書委員はあんま仕事無いしね。んじゃっ!頑張って」
と、優衣は笑いながら、教室をでた。