6 L O V E .
着いたときには、俺たちの前のバンドのリハが始まってたから一度もあいつには会えていない。
この会場のどこかにいるんだよな・・・。
「聡ー!MC頼むぞ!俺らよりによってトリだからな」
「お前のくじ運のせいだろ・・・」
「リハ通りやれば、問題ないっしょ」
「・・・晃太はサビでミスりすぎだけどな」
「恭平・・・気づいてたのか・・・」
こんな感じで、俺らのバンドはめちゃくちゃ上手いわけでも何かセンスがあるわけでもない。
でも、音楽が、このバンドが好きなのと楽しむことだけは誰にも負けてない。
「まあ泣いても笑ってもこれが最後だし、楽しもうや」
ムードメーカーの瀧が笑えば、みんな頷く。
「さて、卒業ライブはじまるぞ」