桜の花が散る前に
プロローグ



あの時



俺が足の痛みをこらえる事が出来たなら


君を守る事が出来たかな




あの時



俺が父を説得出来る国語力があれば


君の涙を見ずにすんだのかな




あの時



もし君が俺と出会っていなければ


君を失わずにすんだのかな






どんなに考えても


答は見つからない


ただ喪失感が体に流れるだけ





どんなに俺が願ったって



どんなに泣き叫んだって




どんなに君を思ったって



もう隣に君はいない




あの温もりも笑顔も


ひねくれた優しさも全て



形に残らない思い出になっただけなんだ





ずっと守りたいと願った



例え、俺が傷付いてボロボロになったっていい。



ただ、君を守りたかった。



君が悲しそうな苦しい表情をした分


笑顔にしたかった。




もっと笑わしてやりたかった。



君の人生を楽しい物にしたかった。



だから俺が起き上がれなくなるぐらい傷ついたってかまわない。




君が過去に心におった傷なんかと比べれば俺なんて‥








時を戻せればどんなに楽だろう


またキミと笑えたらどんなに楽しいだろう


そんな事いう俺は


まだ大人になれてないね



現実を受け入れるのが怖くて後ろばっかり振り向いては君の姿を探して‥


いないって分かってるのにね


もう君は隣に





あの日



君を失ったあの春の日のように




今日も桜は奇麗に咲き誇っています。




でもきっと明日には



あんな奇麗な花びらも命尽きて華麗に散っていく事でしょう。





< 1 / 4 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop