桜の花が散る前に
17度目の春

新学期







毎日同じ夢を見る。


小さい俺が誰かと楽しくおいかけっこをしている。


でも、どんなに手をのばしてもその人には届かない。



しまいにはおいてかれて


俺はひとりぼっちで泣きながらその人の後を追い掛ける。




//ピピピピピピ//



眠い目をこすりながら叩きつけた目覚まし時計。


「やべっ強く叩き過ぎた‥」


そんな事を思いながら時計をながめる。


6:30

ゲームのやりすきで夜更かししたせいか非常に眠い。


でももう起きなきゃならない。


今日から新学期―
ついに高校三年生となる。


進路など大変な一年。


まあ俺の人生決められたようなもんだけど。





階段をおりてリビングに向かうといつものようにテーブルにおにぎりと不恰好な卵焼きがおいてある。


仕事で忙しい父親は朝、俺が起きる前にさっさと仕事に行ってしまう。



だからリビングで父親が作った朝ご飯を食べて学校に出かける。


毎日シャケなんだからたまには明太子とかにして欲しいものだ。






朝ご飯を食べ制服に着替えて学校に行く準備をする。


ワイシャツを第一ボタンまできっちりしめてネクタイもほどほどにきつくする。


特にこだわりとかないので真っ黒な髪に水をつけて寝癖だけ直す。


これが俺の毎朝。


そして仏壇の前に正座して真っ直ぐ目の前にある写真を見る。


目が合ってるようで合ってないのは写真だからだろうか。


それがいつもの事なのにまだ慣れなくて胸がしめつけてくる。


涙をこらえるのがやっとなんだ



仏壇におかれているペンダントを手にとり、少し眺めてから首にかけた。




「行って来ます‥母さん‥」


そう呟いて家を無言で出る。



誰も行ってくれないから




「いってらっしゃい」


なんて





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