ボヤケる視界のさき
母さん「ほら、そろそろいってらっしゃい。」
達也「はい、いってきます。」
姉ちゃんが玄関まで見送ってくれた。
今日入学式だから姉ちゃんたちは休みなのだ。
俺は高鳴る心臓を抑えて駅に向かった。
駅にはチャリで行くためにすぐに着くことができた。
ちょうど知宏も駅に着いたようだ。
これからは知宏と関わることが増えてくるだろう。
中学生の頃に仲のよかった友達はそれぞれの学校に入学した。
でも俺には知宏がいる。
だから高校での不安は少しはあるけどやっていける気がする。
いまの俺はまだ知らなかった。
これから知宏以上に俺にとって大きな存在が現れることを。
俺はただ自分のことだけで精一杯だった…。
電車に乗ること15分。
隣街の駅に到着した。
隣街にはあまり来ない俺には、これからこの道を毎日歩くんだと考えるとなんだか不思議な気分だった。
よし、行くか。