ボヤケる視界のさき
鳴は密かにたっちゃんがここに来るのを期待していた。
けど1度も来なかった…。
その代わりあの男の人は毎日のように夜にいた。
灯りが消える時間帯に来て、空を見上げていた。
ある時、その人は鳴に気づくと近づいてきて話しかけてきた!!
「こんな遅くに1人は危ないよ」って。
暗くてよく見えなかったけど、多分鳴と同じ年齢に見えた。
長くもなく短くもない髪が全体的に立っていた。
その誰かも知らない人に鳴は何故かたっちゃんのことを聞いていた。
すると、その人はたっちゃんの知り合いだったみたい。
鳴は急にテンションが上がり、たっちゃんのことをいっぱい話した。
男の人は鳴の話を笑顔で聞いてくれた。
そして男の人はこう呟いた。
「なんで夏より冬の星の方が綺麗に見えると思う?」
鳴は横に首を振る。
その質問は幼い頃からの抱いていた疑問だったから。