【短編】ヒーロー
ヒーロー
-MOEKO-
「おい、飯」
机の隣に立つ、大きな佐々木 颯(ササキ ソウ)ちゃんを見上げて、
大きなお弁当箱を渡す私、馬場萌子(ババ モエコ)
「はい♪」
それを当たり前に受け取り、待ってた女子の輪を避ける様に戻る颯ちゃん。
教室から出て行く颯ちゃんの背中を見送って
自分の小さなお弁当を出し、席に来てくれてた友達と一緒に食べ始ると、
「毎日、よくお弁当作るよねぇ……」
「感心するよ~」
いつものセリフ。
「え? うん♪
だって颯ちゃんだから」
エヘッと笑った私のオデコを突付きながら
「何赤くなってんのよ?
ただのパシリだよ?」