【短編】ヒーロー
「え……電話。しないの?」
「うん」
何か胸の奥がチクッとした。
私からの電話も、こんな風にされてるのかな? って。
目の前で、女の子に電話されても嫌だけど
今しないのは、私に聞かれたくない相手だから?
なーんて、相手が私だから有り得ない……か。
「ねっ! 颯ちゃんて、女の子の登録って何件位あるの?」
「ヤキモチ?」
少し笑いながら言われ赤くなった。
「そっ、そういう訳じゃないけど……」
「ふーん」
悪戯な颯ちゃんの笑顔。