【短編】ヒーロー
次の日、教室に入ったらいつも通り女の子に囲まれてる颯ちゃんが居た。
素通り……したいけど。
財布渡さなきゃ。
そう思いつつも、放課後になってしまった。
タイミングが掴めなくて……つい、ね?
って、私なにしてんのよ。
さすがに覚悟を決め、その輪へ近付き
「そっ颯ちゃん。財布忘れてたよ……と……昨日あり…」
「颯、この子誰?」
私の言葉を遮ったのは、その輪に居た女の子。
他の女の子達に睨まれてるのがわかる。
「あ、颯のパシリの馬場さんじゃん?」
「あぁ、パシリ馬場さんかぁ!」
「で、何でパシリ馬場さんが颯の財布持ってんの?」
口々に笑う女の子達。
パシリ馬場さん……そんな風に言われてんだ。
颯ちゃんの周りで私を見下ろして笑う。
……嫌な感じ。
でも、恐くて言い返せない。