【短編】ヒーロー
私は、颯ちゃんと話してるのに。
次から次へと、話す女の子達。
でも、そんな中でも笑う事しか出来ない。
こんなに馬鹿にされてるのに、
私……本当に馬鹿かも。
ただ立ちすくむ私の手から、財布を受け取った。
……でも。
目すら合わさない。
「昨日、ジュース買って来さして財布返して貰うん忘れとっただけや」
冷たい声で、その場の女の子達に言った。
「そなんだー。ジュース代も出させばいいのに」
――ドンッ
輪から突き出された。
「いた……」
私の声は、その場に居た女の子達の笑い声で掻き消された。
私と一緒に帰った事すら知られたくないのかな?
私の家に寄った事すら知られたくないのかな?
そりゃ……そーだよね。
颯ちゃんの周りにいる綺麗な人とじゃ天と地の差。
私なんかがそばに居ていいはずがないもんね。