【短編】ヒーロー
私と颯ちゃんの間に入ったさっちゃん。
「佐々木君? もう萌と関わらないで?
萌の事を好きな人がいるの。
今から返事しに行くとこ。
邪魔しないでくれる?」
颯ちゃんを馬鹿にした笑いで見るさっちゃん。
だーけーど!
返事って?
好きな人って?
てか、嘘入ってない?
私が慌てて口を挟もうとしたら、ようちゃんに止められた。
《これ位しなきゃ、また繰り返しだよ?》
耳元で囁くようちゃんの言葉に止まった。
そうだよね。
もう、止めるって決めたんだ。
颯ちゃんが昨日、私の手を払ったのも優しいからじゃない。
私に触られたくなかったんだよね。
今ならわかる。
なのに……ヒーローとか言っちゃって馬鹿みたいだね、私。