【短編】ヒーロー
また、さっちゃんとようちゃんの間に入って腕を組もうとした。
「ちょっと来い」
無理矢理、私の腕を掴んだと思ったら
そのまま、その場から連れていかれた。
やっぱり怒ってるの?
勝手に『何でもする』って言いながら
勝手に『もうしない』とか言ったから?
さっちゃんとようちゃんの声も無視して、
颯ちゃんの周りの女の子の声も無視して。
颯ちゃんは無言で私の手を引く。
階段を上り放課後は誰も来ない音楽室や、
図書室とかがある最上階。
そこまで来て、やっと離された手。
階段に座り、俯く颯ちゃん。
立ってるだけの私。