【短編】ヒーロー
重く長い沈黙に、何度もその場の重い空気を呑む。
どこかへ行っちゃうと思ってた颯ちゃんは、階段に座ったまま俯いてる。
颯ちゃん、どうしたんだろう。
何で
『もうええわ』
っていつもみたいに、どっか行かないんだろ。
そんな颯ちゃんを見てたら合う目。
慌てて逸らしたけど、颯ちゃんにはバレてた。
「なぁ、さっきの萌子の事
好きな奴……お前も好きなんか?」
さっきとは、違う優しい声。
その声に安心したのと、今の説明でわかった。
あっ!
さっきの嘘!?
「あ、それか。ううん。
好きって言うか、まだ会った事ないし……」
「はぁ?」
颯ちゃんの表情に、苦笑いをした。
「さっちゃんと、ようちゃんがね?
私を紹介して欲しいって言ってる子居るからって……
で、今から行くとこなんだけど」
「あぁ。それで化粧までしてん?」