【短編】ヒーロー
「だから言いたい事あるんやったら
言えっつってるやろが」
突然開いたドアと少し微笑んでる颯ちゃんに驚いた。
鏡越しに合う目。
振り向いても、やっぱりソコに颯ちゃんは居て、
「颯ちゃ……ん?」
「何で泣いてんや?」
「え? あの……」
どこから話せばいいかな?
早くしなきゃ……また、怒られちゃう。
えっと……。
チラチラ見ながら焦る私に、
「ま、ええわ。でも、なるべく早よ話さな夜なんで?」
え……?
優しく笑ってる……。
恐る恐る声に出して聞いてみた。
「怒ってないの?」
「怒ってないけど?」
「どうして……?」
「さぁな?」