【短編】ヒーロー




屋上のドアを開いた瞬間、
目に入った不機嫌満開な颯ちゃんの顔。


あちゃー。



「ごめんね、颯ちゃん……あの」

「教室から屋上まで、どれ程遠いねん」



うぅぅ……。



「ごめんなさい……」



やっぱり怒ってる。
こんな時は、謝る事しか出来ない。



「もう、えぇわ」

「……え?」



立ち上がり、私の横を通り過ぎ出て行った。


……私、何の為にココに来たんだろう?
ちょっと位、待ってくれたっていいのにさ?




――キーンコーンカーンコーン……



あ!
チャイム……って私、お弁当食べてないよ!?


今度は、必死に階段を駆け下りたのに、
教室に着く頃には先生が来てて、遅刻。



また、怒られて……放課後、遅刻者の課題プリント中。
ツイてない日ってとことんツイてない。





< 38 / 77 >

この作品をシェア

pagetop