【短編】ヒーロー
屋上のドアを開いた瞬間、
目に入った不機嫌満開な颯ちゃんの顔。
あちゃー。
「ごめんね、颯ちゃん……あの」
「教室から屋上まで、どれ程遠いねん」
うぅぅ……。
「ごめんなさい……」
やっぱり怒ってる。
こんな時は、謝る事しか出来ない。
「もう、えぇわ」
「……え?」
立ち上がり、私の横を通り過ぎ出て行った。
……私、何の為にココに来たんだろう?
ちょっと位、待ってくれたっていいのにさ?
――キーンコーンカーンコーン……
あ!
チャイム……って私、お弁当食べてないよ!?
今度は、必死に階段を駆け下りたのに、
教室に着く頃には先生が来てて、遅刻。
また、怒られて……放課後、遅刻者の課題プリント中。
ツイてない日ってとことんツイてない。