【短編】ヒーロー





帰る頃には、真っ暗。



「はぁー……寒い」



グラウンドからは、大きな声が聞こえる。

クラブ……頑張ってるなぁ。
こんな寒いのに。


ふと目をやると、スグそばで集まって大きな声で挨拶してる男の子達。



それと同時に沢山の男の子が、私の前を横切る。


あ、この部は、終わったのかな?
部室こっちだもんねぇ。


仕方ない。
少なくなるまで待とう。

私なんかが、間に入ったら邪魔だしね。



そう思って、流れる人を見てたら



「あれ? 馬場さん?」



聞いた事のある声。



「あ……柳君?」



そこに居たのは、サッカーユニフォームの柳君。



「サッカー部だったんだねー」

「はい。馬場さんはどうしたんですか?」

「え? い……居残り?」



笑って答えた私に『まじっすか』って笑顔。

あ……馬鹿にしないんだ。



「あ、今から1人で帰るんですか?」

「え? うん」

「じゃ、ちょっと待ってて貰って大丈夫ですか?」

「え?あ、うん?」



そのまま走って、部室に行ってしまった。

……?
何だろう?




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