【短編】ヒーロー



息を切らして戻って来た柳君。



「すみません、寒いですよね?」

「え? 大丈夫だよ?
で……どうしたの?」

「あ……もう暗いんで送って行ってもいいですか?」



え?

それだけの為に、クラブ終わって疲れてるのに走って来てくれたの?


少し驚いた私の顔を覗きこんで、



「あ……嫌でしたよね?
すみません。いや……こんな時間、危ないかなって思って」



少し赤くなり、頭をかいた柳君。



「……ううん、ありがとう。
柳君、謝ってばっかりだね?」



クスと笑った私を見て、



「え? あ……すみま…」



また頭を掻きながら笑う。



「さっきから柳君、何も悪い事してないのに」

「え? あ……はい」



柳君の話は凄く楽しくて。
ずっと笑顔で帰った。




< 40 / 77 >

この作品をシェア

pagetop