【短編】ヒーロー
息を切らして戻って来た柳君。
「すみません、寒いですよね?」
「え? 大丈夫だよ?
で……どうしたの?」
「あ……もう暗いんで送って行ってもいいですか?」
え?
それだけの為に、クラブ終わって疲れてるのに走って来てくれたの?
少し驚いた私の顔を覗きこんで、
「あ……嫌でしたよね?
すみません。いや……こんな時間、危ないかなって思って」
少し赤くなり、頭をかいた柳君。
「……ううん、ありがとう。
柳君、謝ってばっかりだね?」
クスと笑った私を見て、
「え? あ……すみま…」
また頭を掻きながら笑う。
「さっきから柳君、何も悪い事してないのに」
「え? あ……はい」
柳君の話は凄く楽しくて。
ずっと笑顔で帰った。