【短編】ヒーロー
「あ、ここ曲がったら家なんだ」
曲がり角を指差した。
「じゃあ、俺帰りますね」
にっこり笑った柳君に、お礼を言って角を曲がった。
角を曲がり終わった私が顔をあげると
「え? あ……颯ちゃん?」
何故か……私の家の前に颯ちゃんが立っていた。
「何や、お前……どっか行ってたんか?」
いやいや、居残りだよ?
ちょっとは、颯ちゃんのせいでもあるんだから……ね?
なんて思っても口には、出せない。
「颯ちゃんこそ、どうしたの?」
「これ」
出したのは、お弁当箱。
あぁ。
今日、返して貰うの忘れてたっけ!
「わざわざ、それの為に?」
家まで来てくれたの?