【短編】ヒーロー
「あー! もうトロイなぁ」
「ごめんなさい……」
イライラしてるのがわかる。
それに謝るしか出来ない。
私も謝るのは癖かもしれない。
何か……訳がわからない。
涙出てきたし。
下を向いてると零れちゃいそうな涙。
私、何で泣いてるんだろう?
それすら、わからない。
颯ちゃんの言いたい事も……考えてる事も。
私がバカだからわからないのかなぁ?
そんな事を考えてたら、零れた一粒の涙。
服に染みた場所を手で隠した時……。
いきなり立ち上がった颯ちゃん。
そのまま、押し倒された私。
「だから……言いたい事あるんなら言えっつってるやろが」
「え……」
目の前……真上? には、颯ちゃんの顔。
こ、こんな近くで。
例え、言える事でも言えないよ!
それに何で押し倒されてるの!?
目を合わせる事すら出来なくて、オドオドとしてしまう。