【短編】ヒーロー
「だから、言いたい事は口に出せっつってるやろ?」
「……っひ。颯ちゃん、何で……こんな事するの?」
やっぱり悪戯な微笑みの颯ちゃんは、答えた。
「萌子……俺のもんやから?」
へ?
どう言う意味!?
溢れる涙も気にせず、目を見つめた。
「……もしかしてお前、わかってないんか?」
驚く颯ちゃんに、頷いた。
「はぁー……さすが萌子」
凄い笑顔で言われてるんだけど……サッパリ意味が?
「お前の好きな奴だれ?」
「颯ちゃん」
迷わず即答してしまった。
言った後に、顔が熱くなったのがわかる。
「お前、好きでもない奴とキスとかする?」
大きく首を横に振った。
そんなのっ!
するわけがないよ?
颯ちゃん以外しないもん!
する予定もないもんっ!