【短編】ヒーロー


唇を開かれ、私の舌に絡む。

必死に颯ちゃんに合わせるけど、苦しくなって逃げてしまう。
中々、離してもらえず、掴んでた腕をきつく握ってしまう。



開放されて、見上げた颯ちゃんは余裕の表情。



「萌子……色っぽい顔してたらヤるで?」

「なっ!」



色っぽい顔って何?
そんな顔してたの?



「颯ちゃん!?」


そう叫ぶ私に、やっぱり悪戯な顔で
『本気にした?』
って。

もう。恥ずかしいよ。




でも。
少しの我儘……いいかな?



「手……繋いでもいい?」

「は? 家ん中で手?」



呆れる颯ちゃんに、言わなきゃ良かったって反省。


そりゃそうだよね……。
普通、家の中で手なんて繋がないよね?



「しゃーないなぁ……ほら」

「え?」




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