【短編】ヒーロー
隣に座る颯ちゃんの手が、私の手を握った。
強く握り返した手。
それだけで心臓がドキドキうるさくて。
手に体温の全てが集まったってくらい熱くなった。
「ぶっ。手くらいで、そんなんやったら、
これから先どうなるねん」
確かに。
先って……あれだよね?
どうしよう。
私、出来るのかな?
握った手を見て、顔をあげると、やっぱり笑ってた。
「まぁ、相手、萌子やし?
待ったるわ……しゃーないしな?」
今日の颯ちゃん……絶対変!
いつもこんなに笑わないもん。
こんな優しい笑顔しないもん。
手なんて繋いでくれないもん。