【短編】ヒーロー


ドアにもたれて傘をプラプラ振り、
しゃがみながら私を見上げた



「颯ちゃん!?」

「お前、遅すぎ……またババァに説教されてたんか?」

「え? あーうん」



ババァってのは、委員の先生の事。

笑って返事をした私。



「そんな事より、どうしたの?
用事じゃなかったの?」



何でここに颯ちゃんが?
って疑問に思った私を置いてサッサッと歩きながら、



「用事なんて言ってへんし。……帰んぞ」

「え? あ、入れてくれるの?」



颯ちゃんと、相合傘?

嬉しい♪




ドンドン強くなる雨なんて、楽しくて嬉しくて全然気付いてなかった。



「お前、本間、要領悪いな」

「え?」

「ババァなんて軽く交わせばえぇのに」

「あー……あは。だねぇ」




確かにその通りっ!

だけど、いつも捕まっちゃうんだよねぇ。


色々、面倒な事を押し付けられたりさ?

結構あるんだよね。





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